Antigravity A1に待望のコントローラー登場―Avata 360への対抗軸は「操縦」と「追従撮影」
Antigravity A1に、ようやく二本のスティックが加わりました。
2026年10月20日、AntigravityはA1用のデュアルスティック式リモコンと、腕時計型・リング型の操作機器を使う「Follow Me」を発売しました。日本では同日22時から販売を開始しています。
ゴーグルを着け、進みたい方向を指して飛ばす。そんな独特の操作体験を前面に出してきたA1が、慣れ親しんだ操縦方法にも対応することになります。
一方のFollow Meは、ゴーグルを使わず、自分の活動を空から撮ってもらうための仕組みです。
操縦したい人にはスティックを。撮られたい人にはウォッチを。今回の追加は、A1の入口を二方向に広げる動きといえます。DJI Avata 360との競争も、360度映像の画質だけでなく、「誰が、どう使うのか」へと広がってきました。
コントローラー追加で、経験者が選びやすいA1に
A1はこれまで、GripモーションコントローラーとVisionゴーグルによる没入型の操作を中心に展開してきました。今回、公式ストアにも「モーションコントローラー」「Follow Me」「リモコン」という三つの選択肢が並びました。
モーション操作には、指した方向へ進める分かりやすさがあります。しかし、すでにドローンを飛ばしている人にとっては、スティックで細かく動きを組み立てたい場面もあります。
機体の移動と旋回を組み合わせ、撮りたい位置へ少しずつ寄せる。速度や距離感を、自分の手に染み込んだ操作で調整する。その選択肢が加わる意味は小さくありません。
新リモコンでは、機首方向に視線を合わせる「Fixed View」と、バーチャルジンバルによる画角調整も紹介されています。ただし、このリモコンによる飛行にはVisionゴーグルが必要です。「普通のプロポが出たから、ゴーグルなしで操縦できる」とは受け取らない方がよいでしょう。
A1らしい没入感を残しながら、操縦の自由度を広げる。今回のリモコンは、そのための追加です。

図1:新リモコンを使う構成ではVisionゴーグルが必要です。公式製品画像を外観参考にした編集部制作の概念図です。
Follow Meは、腕時計と指輪で使う「空の撮影係」
もう一つの注目がFollow Meです。
いわゆる追従用モジュールと捉えられますが、機体に小さな部品を付けるだけの製品ではありません。Watch RemoteとRing Remoteという、身に着ける操作機器を使う仕組みです。
メーカーは、画像による追跡とウォッチ内蔵GPSを組み合わせると説明しています。リングを使った「Drag-to-Fly」では、手の動きで機体の位置を調整できます。
こちらはゴーグルなしで利用する構成です。国内発表では、機体付きキットが参考価格11万5,900円から、本体を含まないアクセサリーキットが参考価格5万7,000円。発売記念価格も案内されています。
この製品が狙うのは、操縦そのものを楽しむ人だけではないはずです。
自転車に乗る、歩く、旅先で景色を楽しむ。その時間を撮影するために、大きな操作機器を持ち続ける負担を減らす。ドローンを「飛ばす道具」から、自分の活動を記録する撮影係へ近づけています。

図2:Watch RemoteとRing Remoteを使うFollow Meの考え方。実際の利用条件を再現したものではなく、追従機能が周囲の安全確認に代わるものでもありません。
360度撮影と追従機能は、相性がよい
追従ドローンでは、機体が被写体についていくことと、欲しい構図で撮れていることが必ずしも一致しません。
人物を追えていても、背景が単調だったり、少し横の出来事を取り逃したりすることがあります。
360度撮影なら、飛行後に映像の向きを選び直せます。人物を中心にした映像から周囲の景色へ視線を移したり、一回の飛行から複数の構図を作ったりできるのが利点です。メーカーもFollow Meの特徴として、撮影後のリフレームを挙げています。
もっとも、後から構図を変えられても、機体が飛ぶ場所まで後から変えることはできません。被写体との距離、周囲の障害物、飛行を続けられる環境かどうかは、撮影時に判断する必要があります。
追従の手間が減ることと、周囲への注意が不要になることは別です。
Avata 360との違いは、操作機器まで見ないと分からない
DJI Avata 360は、標準送信機での空撮と、ゴーグルを使う没入型の飛行を選べる構成を用意しています。標準送信機ではActiveTrack 360°などを利用できる一方、使用する機器や撮影モードによって使える機能が変わります。
今回のA1の追加を踏まえると、比較のポイントは次のようになります。
スティックで操縦したい場合:A1は新リモコンに対応し、Visionゴーグルが必要です。Avata 360は標準送信機による操作に対応しています。
没入型の飛行を楽しみたい場合:A1はVisionゴーグルとモーション操作、または新リモコンという構成です。Avata 360は対応ゴーグルとモーション/FPV送信機を組み合わせます。
自分を追従撮影してほしい場合:A1はWatch・Ringを使うFollow Meを追加しました。Avata 360は標準送信機でActiveTrack 360°などを利用します。
購入時に確認すること:A1では操作方法ごとのキット構成と必要機器、Avata 360では送信機・ゴーグル・撮影モードによる機能差を確認したいところです。

図3:各社の公式説明に基づく操作機器の比較。追従性能や操作性を同条件で実測比較したものではありません。
A1にスティック操作が加わったことで、従来型の操縦に慣れた人も検討しやすくなりました。ただ、Avata 360の標準送信機による操作と、必要機器まで同じになったわけではありません。
一方、Follow Meのウォッチとリングは、A1側が打ち出した別の入口です。プロポを持って撮るか、自分が動きながら撮ってもらうか。選び方が、機体のスペック表だけでは収まらなくなっています。
Avata 360に対抗するのは、新しい機体だけではない
今回、メーカーが「Avata 360対抗」と明言したわけではありません。ただ、編集部としては、競争する範囲を広げた動きと見ています。
360度カメラを積んだ機体を売るだけなら、比較は解像度や飛行時間、価格に寄りがちです。しかし、操作機器が変わると、使う人と撮影の場面も変わります。
モーション操作で空を眺めたい人。スティックで撮影を組み立てたい人。自分のスポーツや旅を記録したい人。同じA1でも、選ぶ周辺機器によって役割が変わってきます。
リモコンの登場は、A1が従来のドローンユーザーへ歩み寄った出来事です。Follow Meの登場は、操縦を主目的にしない人へ市場を広げる出来事です。
この二つを同時に出してきたところに、今回の発表の面白さがあります。Avata 360との競争は、機体の性能に加え、撮影を始めるまでの手間や、使い続けたくなる体験をどう作るか。その勝負へ進んできたのではないでしょうか。
※2026年10月21日時点の公開情報に基づきます。価格・販売構成は変更される場合があります。競争上の位置付けは編集部の考察です。図版は公式製品画像を外観参考にAIで制作した編集部の概念イラストであり、公式画像や実測試験の記録ではありません。








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